風の舞
〜闇を開く光の詩〜
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             塔和子さん

劇中で使用させていただきました詩をご紹介いたします。
 


    塔 和子 詩集 NO.4


「胸の泉に」

 かかわらなければ

 この愛しさを知るすべはなかった

 この親しさは湧かなかった

 この大らかな依存の安らいは得られなかった

 この甘い思いや

 さびしい思いも知らなかった

 人はかかわることからさまざまな思いを知る

 子は親とかかわり

 親は子とかかわることによって

 恋も友情も

 かかわることから始まって

 かかわったが故に起こる

 幸や不幸を

 積み重ねて大きくなり

 くり返すことで磨かれ 

 そして人は 人の間で思いを削り思いをふくらませ

 生を綴る

 ああ何億の人がいようとも

 かかわらなければ路傍の人

 私の胸の泉に

 枯れ葉いちまいも

 落としてはくれない


「希望」

 そいつは はるかなところで

 ほのぼのと明るんでいる

 そいつの正体は

 あのことへの思いだったり

 あの人への思いだったり

 大地をゆるがすほどの

 大きな志だったり

 みんなそれぞれ違っていて同じ色だ

 そいつは はるかでなければならない

 とどいたときにはもう終わっているから

 私は頂点にあるそいつを

視野からふりあおいで

 近づこうとしている憧れでありたい

 そして

 とどいては終わり

 とどいては終わりしながら

 限りなく大きくなって

 いつも

 新たなものを仰いでいる

 憧れで

 あり続けたい



                       

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